漢字の点字:六点漢字と漢点字のちがい

ふつうの点字(かな点字)には、漢字がありません。 漢字かな交じりの文章も、点字では読み方どおりのかなで書きます。「点字」は「てんじ」として ⠟⠴⠐⠳、「日本」は「にっぽん」または「にほん」として書きます。ただし、漢字を点字で表すための体系もあり、6点で書く六点漢字と、8点を使う漢点字が知られています。

この記事のポイント

  • 日本でもっとも広く使われている点字はかな点字で、漢字はかなで書きます。
  • かなで書くと、「きしゃ」(記者・汽車・貴社)のような同音異義語は文脈で読み分けます。
  • 六点漢字は、ふつうの点字と同じ6点のマスを組み合わせて漢字を表す体系で、長谷川貞夫が考案しました。
  • 漢点字は、川上泰一が1969年に考案した8点式の点字で、漢字1字を1〜3マスで表します。

なぜ点字には漢字がないのか

点字のマスは6つの点で、組み合わせは空白を含めて64通りしかありません。何千もある漢字に、それぞれ1マスを割り当てることはできません。そこで日本の点字は、1890年に生まれたときから、かなの五十音を表す文字としてつくられました(日本の点字の歴史)。

かなで書くと、文字数は少なく、覚えることも少なくてすみます。その一方で、同じ読みのことばは同じ点字になります。

ことば 点字
記者・汽車・貴社(きしゃ) ⠣⠈⠱
橋・箸・端(はし) ⠥⠳

ふだんの文章では、前後の文脈から意味がわかるので、それほど困りません。読み分けやすくするために、ことばの区切りで1マスあける「分かち書き」も役立っています。

六点漢字

六点漢字は、ふつうの点字と同じ6点のマスをいくつか組み合わせて、漢字1字を表す体系です。長谷川貞夫が考案しました(国立国会図書館には『長谷川貞夫式六点漢字地名辞典』のような資料も所蔵されています)。

6点のままなので、ふつうの点字と同じ道具や機器で読み書きできるのが特長です。オープンソースの点字翻訳ライブラリliblouisにも、2024年に作られた六点漢字の変換表が含まれています。

漢点字

漢点字は、大阪府立盲学校の教諭だった川上泰一が1969年に考案した点字です。ふつうの6点式点字の1の点の上と4の点の上に点を1つずつ加えた、8点式(横2×縦4)のマスを使い、漢字1字を1〜3マスで表します(ウィキペディア「漢点字」)。

8点を使うため、6点用の点字器では書けません。

3つの書き方のちがい

かな点字 六点漢字 漢点字
点の数 6点 6点 8点
漢字 かなで書く マスの組み合わせで表す 1〜3マスで表す
考案 石川倉次(1890年採用) 長谷川貞夫 川上泰一(1969年)
使われ方 もっとも一般的 漢字の情報が必要な場面 漢字の情報が必要な場面

点字を学ぶなら、まずはかな点字から

これから点字を学ぶなら、まずはかな点字です。母音の5文字と、行ごとの点の規則を覚えれば、五十音の大部分が読めるようになります。漢字の点字は、そのあとで必要に応じて学ぶものです。かな点字の全体は点字一覧表で、読み方のコツは点字の読み方で紹介しています。

よくある質問

点字で漢字は書けますか?

ふつうの点字(かな点字)では、漢字は読み方どおりのかなで書きます。漢字を表す体系として、6点の六点漢字と、8点の漢点字があります。

同じ読みのことばは、どう区別するのですか?

文脈で読み分けます。分かち書きでことばの区切りがわかるので、多くの場合は前後の文から意味が決まります。

漢点字と六点漢字はどちらが使われていますか?

日本の点字の大部分はかな点字で書かれていて、六点漢字と漢点字は、漢字の情報が必要な場面で使われる専門的な体系です。

自分の名前の漢字を点字にできますか?

かな点字では、名前を読み方どおりのかなで書きます。点字変換ツールに読みを入力すれば、点字にできます。